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INTERVIEW Vol.3 ゲーム版キャラクター原案 本庄雷太 × アニメ版キャラクターデザイン 渡辺敦子

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Chapter 2:キャラクターデザイン:ガリア軍編

 現在好評放送中のTVアニメーション『戦場のヴァルキュリア』。今回はゲーム版のキャラクター原案を担当された本庄雷太氏とアニメーション版のキャラクターデザインを担当された渡辺敦子氏の対談を3回に分けてお贈りする。ベースとなったゲーム版のキャラクターがどのようにデザインされ、また、それがアニメーション版ではどのようにアレンジされたのか、第2回目である今回は、ガリア軍メインキャラクターの各デザインについてお伺いした。

●アリシア・メルキオット

本庄:一言で言うと直球勝負です。最初ポニーテールの案なんかもあったんですが。それと、ガリア軍の制服は彼女のデザインから生み出されたものが多いです。ゲーム中偵察兵でスカート履いているのは彼女だけなのもその名残かな。

渡辺:パッと見てかわいいキャラクターですよね。スタッフの間では髪の毛は髪の毛として作画するのではなく、エフェクトで動かそうということになりました。よく走る子なので、動かすことを念頭に置いての判断です。ゲームにはないアホ毛はデザイン中のどこかの段階でつきました(笑)。

ウェルキン●ウェルキン・ギュンター

本庄:これもデザインは、主人公のテンプレートなのでそんなに苦労しませんでした。アリシアと同じでベースはかなり初期の段階で決まっています。軍服のデザインは、結構悩みました。戦争ものなんですが、第二次大戦の軍服をベースにすると華がないので、第一次大戦をモチーフにしました。最初帽子をかぶっていたんですが、軍帽は目深にかぶらないとかっこ悪いんです。でもそうすると顔が見えないということで、今の形に落ち着きました。

渡辺:最初ゲームのデザインを拝見したときに、かなりかっこ良かったので、かっこ良く描いたら、
「かっこ良すぎる」と怒られたのでかなり凡庸な感じに修正しています。最近はウェルキンっぽいと言われるとわかるようになったのですが、最初はキャラクターをつかむのが大変でした。

イサラ●イサラ・ギュンター

本庄:自分の中のイメージでは最初は金髪でした。それとショールは最初からありましたね。そこにダルクス人の設定が乗っかった感じです。あと、彼女の意志の強さが太眉にあらわれています。女性用戦車兵装なのは作品全体を通して彼女だけですね。

渡辺:イサラはなぜか周りにファンが多いので……。アニメキャラっぽく可愛がりたい系のデザインにしましたが、本編中では全く媚びませんね。

ロージー●ロージー
(ブリジット・シュターク)

本庄:あまり普段自分の描くタイプのキャラクターではないので、イメージをつかむまで若干苦労しました。デザインのタイミングはアリシア、ウェルキンの次くらいです。へそ出し、開襟のキャラクターですね。彼女があっさり通ったので、そのあとのキャラメイクが楽になった記念すべきキャラクターです(笑)。厚ぼったい唇と髪が赤毛なので色素が薄くそばかすがあるのが特徴的です。

渡辺:20歳くらいだと思っていたんですが、もっとお姉さんなんですよね。大人っぽさ、アリシアとは違うお姉さんぽさを出そうとしています。髪の毛が多くて、原画さんによってはかなり違ってきてしまうのでそこに気をつけています。

ラルゴ●ラルゴ・ボッテル

本庄:野菜万歳が印象的(笑)。ストーリー上の立ち位置がキャラクターの外見に反映されています。小隊員が全般的に若いので、一人古参兵を入れてバランスを取ろうということでのデザインです。オヤジだからタバコもくわえさせようと、ゲームのコードとしては結構大変なことみたいですが(プレイヤーの年齢制限の問題があるため)、ゲームディレクターの肝いりでそうなっています。不細工ではないけれども愛嬌のある団子鼻ということを意識しました。

渡辺:精神、体型ともに一番安定していますよね。ガリア軍は、“浮ついた”と言ったら違うんですが、兵でいることに慣れていない感じを出しているんです。そういう意味ではラルゴは逆に“俺に任せろ”系です。

※INFO※
本庄雷太氏によるキャラクター原案のイラストや、ゲーム制作過程の素材は、
今年夏発売予定の「戦場のヴァルキュリア デベロップメントアートワークス」(エンターブレイン刊)に大量掲載予定!お楽しみに!