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INTERVIEW Vol.2INTERVIEW Vol.2 監督 山本靖貴 × シリーズ構成 横手美智子

Chapter | 1 | 2 | 3 |
Chapter 1:恋愛要素と戦争と群像劇の三要素によるスタッフィング

 いよいよ放送となるTVアニメーション版『戦場のヴァルキュリア』。前回のインタビューでは、原作からアニメーションへと受け継がれていく想いをテーマとしたが、今回は、それらがどのように昇華されアニメーションとなっていくのか監督の山本靖貴氏とシリーズ構成を担当される横手美智子氏のお話を3回に分けてお届けする。
 第1回は、本作の方向性を決める脚本家がどのように決まったのか、その経緯についてお伺いした。

――シリーズ構成をお受けになられた経緯をお教えください。

横手美智子(TVアニメーション『戦場のヴァルキュリア』シリーズ構成)以下横手:A-1Picturesの加藤プロデューサーから『戦場のヴァルキュリア』の脚本をやりませんかというメールが来まして。そのとき、手が空いていましたので、「やります、やります!」と二つ返事で……。でも、引き受けたらスケジュールがものすごく逼迫していたのを覚えています。

――監督よりもお話は早かったのでしょうか。

山本靖貴(アニメーション版『戦場のヴァルキュリア』監督)以下山本:僕のほうが早かったのですが、僕のところにお話が来た段階でかなりスケジュールが厳しかったんですよ。

横手:9月か、10月くらいで。昨今の作品としては短かったですね。

山本:ほかの作品でもスケジュールが厳しいことはあるんですが、スタートは早かったりするんですよ。こちらは、放映日等が決まっていて、そこまでにというお話だったので。普通と逆なんです(笑)。

――では、横手さんへのご依頼は監督からですか

山本:そうですね。まず、僕が個人的にこれまでの横手さんの作品が好きだということがありまして。あとは、作品性の中で戦争と恋愛のバランスがキーになると考えていて、そこのところが横手さんはとても上手だろうと。あとは、キャラクターが魅力的なので、そこも横手さんによってもっと膨らんでいくだろうという目論見がありました。

――横手さん以外に大和屋(暁)さん、下山(健人)さんのローテーションですが、こちらも監督のご依頼でしょうか?

横手:それは私です。お話をお受けしたときに、大和屋さんと、下山さんとでチームを作りたいと監督にお願いしたら、すんなりOKを頂きました。誰がどの話を担当するかというローテーションは、基本的に3人でぐるぐる回す感じなんですが、この話は下山さんの方がいいと思うものは、下山さんに、前後編で重いと思うものは大和屋さんにお願いしたりという感じで、私はシリーズ構成なのに好きな話を書かせて頂いています。

――どういう風にご担当を決めていらっしゃるのでしょうか?

横手:下山さんはああ見えて恋愛番長なんです。ですから、下山さんには恋愛分の多い話を、逆に大和屋さんにはハードな男の子っぽい話をお願いしています。

――大和屋さんといえばギャグ番長のイメージがありますが。

横手:ギャグは今回封じて頂きました(笑)。1年間くらいお話があれば入れたかったんですが。

山本:一応6話がギャグっぽいお話なんですが、こちらは大和屋さんにお願いしています。

――原作に触れられたのはいつのころでしょうか?

横手:お話を頂いた時には、まだPS3を持っていなかったので、全部やりこんだという映像が入っているDVDを頂きまして、それをみんなで見たりしました。戦略ゲームだということはなんとなく判ったんですが、難しいですよね。監督はやりました?

山本:僕はやりましたよ。でも、だんだんゲームしている場合じゃなくなってきて……(笑)。やりこんだわけではないですが、ストーリー部分は普通のプレイヤーさんより見ていると思いますよ。

――原作元からのリクエストはありましたか?

山本:基本的に、こちらのアイディアをみて面白くなりそうなら、そのままお願いしますという流れは出来ているんですが、ゲームではやりたくても出来なかったことをアニメーションに託したいということでいろいろ、アイディアを頂いてます。

横手:たとえば、ストーリー上ウェルキンが落ち込む展開があるのですが、ゲームでは殆ど描かれていないのでそこはしっかりやろうと。

――最近は暗い展開を嫌う視聴者も多いと思いますが、あえておやりになるのですね。

山本:僕自身、暗い展開を見るのは嫌いなんです。安易にそちらに持っていくというのはやりたくないですが、人物描写の自然な流れで暗くならざるを得ない状況ならそれはきちんと描くべきだろうと思っています。